腰式呼吸

この間、たまたま朝のラジオを聴いていたら、

ゲストで歌手の由紀さおりさんが出演されていました。

 

番組の中で話しておられたのは、

母の日コンサートの案内と、

喉のケアや歌う時の呼吸について。

 

この時に仰っていたのは、

息を「腰に入れる」こと。

 

「息を吸う時は、お腹を膨らませるんじゃなくて、 

 丹田に意識を置いて、腰の筋肉をふくらませるんです」

 

実際にMCの方が由紀さおりさんの腰を触ったら、

吸気に合わせて腰の筋肉が大きくふくらんだと

驚いておられました。

 

 

そう言えば、私が趣味でお芝居をしていた時にも、

演出家の先生が同じことを仰っていました。

 

 

「息を吸った時に、

 お腹じゃなくて腰をふくらませる」

 

「・・・?」

 

 

ちょっとイメージしにくいですよね。

 

 

私なりにこの呼吸法について考えてみました。

 

 

以前にご紹介したこの動画を見ると、

「腰をふくらませる」「腰に息を入れる」を

イメージしやすいと思います。

 

 

 

 

動画を見ていただくとわかる通り、

息を吸う時には骨盤が後ろに傾き、

息を吐く時には骨盤が前に傾きます。

 

息を吸って骨盤が後傾すると、

それにつられて骨盤の上部についている筋肉が伸びます。

 

動画にはありませんが、この時に伸びるのが、

腰方形筋(ようほうけいきん)という筋肉です。

 

 

下の画像で色がついているのが腰方形筋。

 

肋骨の最下部(第12肋骨)と、

骨盤の上部(腸骨稜)をつなぐ筋肉です。

 

 

 

 

腰方形筋の隣にあるのが大腰筋(だいようきん)で、

骨盤の内張りのような筋肉が腸骨筋(ちょうこつきん)です。

 

これらは腰痛にも関係する筋肉です。

 

両者ともに大腿骨まで伸びていますから、

腰だけではなく脚(股関節や膝など)にも影響する筋肉です。

 

 

腰方形筋は、横隔膜にもピッタリとくっついています。

 

「腰をふくらませる」とか、

「腰に息を入れる」という時に働くのは、

おそらくこの筋肉のことだと思います。

 

 

 

 

スネル臨床解剖学』によると、

腰方形筋は努力呼吸時の呼気に使われるとあります。

 

 

 〔努力呼吸時の呼気について〕

 

 努力して呼気を行うには前腹壁筋の収縮による強い力が用いられる。

 

 腰方形筋もまたその際に収縮し、第12肋骨をさげる。

 

 このような状況下では、肋間筋も収縮して

 肋骨をたがいに上下方向で近づけるとともに、

 第12肋骨に向かって下降させるように働くことが想像できる。

 

 下後鋸筋および広背筋もわずかではあるが

 呼気筋としての役割を果たすものと思われる。

 

 

 

ついでに、下後鋸筋(かこうきょきん)と、

 

 

広背筋(こうはいきん)です。

 

 

 

吸気で骨盤が後傾すると、

第12肋骨と骨盤との間隔が広がり、

腰方形筋が伸長する。

 

呼気で骨盤が前傾すると、

第12肋骨と骨盤との間隔が狭まり、

腰方形筋が短縮する。

 

筋肉は縮む時に力を発揮するので、

吸気の時に腰をふくらませて腰方形筋を伸ばすと、

伸ばした分だけ縮む幅も広がって、

長く強い息が吐ける(=長く強い声が出せる)。

 

 

「腰をふくらませる」

「腰に息を入れる」ことの意図は、

つまりそういうことなのだと思います。

 

 

 

では、なぜ「腹式呼吸よりも腰式呼吸なのか?」という点について。

 

吸気でお腹をふくらませることを意識すると、

骨盤が前へ傾こうとします。

 

この動きは、吸気時の

自然な骨盤の動き(後傾)とは逆の動きです。

 

意識してお腹をふくらませる力と、

無意識で骨盤が後傾する力。

 

両者の相反する力が骨盤にかかると、

骨盤の動きがロックされ、息が入りきらなくなります。

 

単純に吸気でお腹だけをふくらませる呼吸と、

吸気で骨盤が自然に後傾するのを

誇張するように腰をふくらませる呼吸。

(腰に息を入れる時にもお腹は少しふくらみます)

 

どちらの方がより深く息が入るか?

 

実際にやってみると、その違いがよくわかりました。

 

 

更に、呼気で骨盤が自然に前傾していく動きを意識する

(誇張せずに観察するだけでいいと思います)と、

吐く息の「伸び」が感じられます。

 

坐っている時は骨盤の動きが固定されやすいので、

骨盤が自由になる立位で行うとよりわかりやすいと思います。

 

 

 

あと、「丹田に意識を置く」ことついて。

 

骨盤という空間の中に仮想の点(≒丹田)を置くと、

それが動きの軸になるので、呼吸とともに

前・後傾する骨盤の動きを捉えやすくなると感じました。

 

あくまでも、個人的な体感です。

 

 

 

・・・と、長々と説明をしましたが、

由紀さおりさんほどの歌い手から

「息を吸う時は腰をふくらませるのよ」と言われたら、

もうそれだけで十分に説得力がありますね。

 

ちなみに、ネットで由紀さおりさんを

調べてみると、1948年生まれ(!)でした。

 

60代後半であの声を出せるなんて、

本当に素晴らしいです。

 

喉も非常に大切にしておられるそうで、

やはり大切にしたものは活きますね。

 

 

大きな声を出す時、声をはっきり通したい時、

歌う時、司会をする時、お芝居をする時など、

「腰に息を入れる」を意識してみるといいと思います。

 

試しに、カラオケで腰に息を入れて歌ってみたら、

いつもより張りのある声が出た・・・ような気がします。

(あくまでも本人調べ)

 

個人的には、腰痛の予防にもなると感じました。

 

 

腰式呼吸(なんて言葉は多分ありませんが)、

みなさまどうぞお試しください。

 

 


コメント
コメントする








   
この記事のトラックバックURL
トラックバック

カレンダー

S M T W T F S
    123
45678910
11121314151617
18192021222324
25262728   
<< February 2018 >>

プロフィール

ブログ内検索

リンク

Amazon

最近の記事

カテゴリー

過去の記事

おすすめ

おすすめ

おすすめ

おすすめ

おすすめ

おすすめ

おすすめ

おすすめ

おすすめ

アミ小さな宇宙人 (徳間文庫)
アミ小さな宇宙人 (徳間文庫) (JUGEMレビュー »)
エンリケ・バリオス
アミの優しい言葉の全てに、宇宙の真理があふれています。読むたびに新しい発見があり、何度読んでも心に響きます。アミに逢いたいなぁ。

おすすめ

メッセンジャー―ストロヴォロスの賢者への道
メッセンジャー―ストロヴォロスの賢者への道 (JUGEMレビュー »)
キリアコス・C. マルキデス
世界一のヒーラーと呼ばれたダスカロスについて書かれた本。最初は用語が難しくて読みにくく感じますが、読み進めていく内にダスカロスの魅力に引き込まれていきます。出来ることなら生前にお会いしたかった。スピリチュアル初心者にも上級者にもおすすめです。

おすすめ

ニュー・アース -意識が変わる 世界が変わる-
ニュー・アース -意識が変わる 世界が変わる- (JUGEMレビュー »)
エックハルト・トール
「いまに在る」とは?それを教えてくれる名著です。

おすすめ

シルバーバーチのスピリチュアル・メッセージ―真実の愛であなたが変わる
シルバーバーチのスピリチュアル・メッセージ―真実の愛であなたが変わる (JUGEMレビュー »)
トニー オーツセン
人は何の為に生まれて来たのか?死んだらどうなるのか?迷いの中にいた時に出会った本です。シルバーバーチが私の人生観を大きく変えてくれました。白樺の名前はここからいただきました。

おすすめ

子は親を救うために「心の病」になる (ちくま文庫)
子は親を救うために「心の病」になる (ちくま文庫) (JUGEMレビュー »)
高橋 和巳
ショッキングなタイトルの本ですが、深く心に響く良書です。

おすすめ

Q&Aこころの子育て―誕生から思春期までの48章 (朝日文庫)
Q&Aこころの子育て―誕生から思春期までの48章 (朝日文庫) (JUGEMレビュー »)
河合 隼雄
我が子と接することに悩む方、誰かを教育する立場にある方、親との関係に悩む方は手に取ってみてください。きっと肩の荷がおりますよ。

おすすめ

ジョゼと虎と魚たち(通常版) [DVD]
ジョゼと虎と魚たち(通常版) [DVD] (JUGEMレビュー »)

甘くて切なくて悲しくて優しい物語。エンディングで流れる、くるりの『ハイウェイ』が心に沁みます。

コメント

トラックバック

その他

ブログを携帯で読む

qrcode